教育費の高騰が社会問題になっている昨今、進学費用を自分で用意しようと考えたり、家庭の事情で自分で準備せざるを得ない場合があります。なるべく親の世話にならずに進学したいと考える学生もいるでしょうし、失業などの事情があって、親の名義では借り入れが難しいケースもあります。
保護者ではなく、学生本人の名義で教育費を借りたい場合、王道としては奨学金を利用することになります。しかしもし奨学金が利用できなかったり、奨学金だけでは足りない場合など、銀行など民間の教育ローンを学生本人が申し込んで使うことは可能なのでしょうか?
本日は学生本人が申し込んで、銀行などの教育ローンが使えるかどうかを解説します。
- 一般的に学生本人では教育ローンの契約は困難です
- では20歳以上で、バイト収入がある学生なら契約できる?
- 学生名義で借りられるのはやはり「奨学金」
- 本人が借りられる公的資金「教育支援費」「就学支度費」とは?
- 教育ローン、親に借りてもらうしかないけど、でも、どうしても親に迷惑をかけたくない!!という場合は…
- まとめ
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一般的に学生本人では教育ローンの契約は困難です
いきなり失望させてしまったら、申し訳ありません。残念ながら銀行などの「教育ローン」は、学生本人を契約者として手続きし、融資を受けるのは通常難しいといえます。
まず、金融機関や貸金業者からの借入は、20歳以上でないと(つまり成人していないと)利用できません。高校を卒業したてばかりの学生では、未成年なので年齢条件を満たしていません。
また、借主が定期的に収入を得ている必要があります。20歳以上の学生は年齢条件は満たしていますが、長期的にある程度の安定収入を確保していなくてはいけません。
では20歳以上で、バイト収入がある学生なら契約できる?
では、成人していて、ずっと継続してバイトをしており、毎月安定した収入を得ている学生なら申し込み条件を満たしていますが、どうでしょうか?
このような場合は全く不可能という訳ではなく、借りられる教育ローンもあります。
例えば楽天銀行の教育ローンでは「お申込みいただける方」の欄に、「学生ご本人さまで安定した収入のある方」と明記されています。どの程度で安定収入というかは具体的には公表されていませんが、例えば「アルバイトだけど同じ職場で1年以上働いていて、毎月コンスタントにだいたい同じ額の収入がある」という場合は、安定収入があると判断されると考えられます。
【情報】実は楽天銀行教育ローンのFAQページによれば、「学生本人が未成年か、成人していても安定収入がない場合は、連帯保証人に保護者を指定してください」と書いてあります。つまり、連帯保証人に保護者がつけば、未成年で安定収入がなくても、学生本人名義で契約できる、という意味では?と考えられるのです。どうしても使いたい!という場合は、問い合わせてみてください。 |
日本政策金融公庫の教育一般貸付(国の教育ローン)では、原則的に保護者が申込人になりますが、成人していて安定した勤務収入があり、独立して生計を営んでいる場合は学生本人でも借りられる場合がある、と案内しています。社会人が大学や専門学校で学ぶケースを想定されていると思われます。
ただし思うような金額が借りられない場合はあります
教育ローンの申込みの際には、収入を証明する書類を提出します。安定収入があるとはいえ、年収自体が少ない場合は、希望した金額が借りられない可能性はあります。
教育ローンでなく、銀行カードローンだったら?
銀行カードローンも教育ローンと同様に、申し込みは20歳以上で、基本的に安定収入がないと申し込みできません。ただ、銀行カードローンの場合は配偶者や保護者の収入を申告することで、融資上限額を少額に制限したうえで、利用できるケースもあります。
※銀行カードローンは事業性資金以外のさまざまな費用に利用できる、自由度の高いローンです。しかし現在、諸条件などが流動的な部分があります。利用を考えている場合は、申し込む前に、銀行の相談窓口などに相談し、資料等をよく見て検討することをおすすめします。 |
銀行ではなく消費者金融のカードローンでも条件は同じです。さらに年収によって貸し付け可能な枠が決まりますので(総量規制※)収入のない人は借りることができません。
※総量規制:申込者の年収の1/3までしか融資してはいけない、と貸金業法で定められています
ウェブ検索すると、「学生ローン」という名称のローンが見つかりますが、これらも基本的には貸金業なので、年齢と安定収入の条件は同じです。
いずれにしてもカードローンや学生ローンは、奨学金や教育ローンと比較すると、かなりの高金利です。銀行カードローンでは消費者金融のカードローンよりは金利が抑えられていますが、それでも奨学金とは比較になりません。
したがって日常的に学生が、授業料や生活費といったお金を各種カードローンで借り入れるのは、おすすめできません。教育費の緊急時に銀行カードローンが役立つのは事実ですが(筆者も緊急時限定で銀行カードローン、活用しています)、保護者名義での利用を検討してください。
学生名義で借りられるのはやはり「奨学金」
学生本人の名義で借りる教育費としては、やはり奨学金がもっとも一般的です。利用者が多いのは日本学生支援機構(JASSO)の奨学金です。高校3年生のうちに予約採用という事前申し込みができますので、利用を考えている場合は、できるだけ予約採用で申し込んでおくようにしましょう。卒業までに申し込み時期は春と秋の2回あります。
JASSOの第一種(無利子)・第二種(有利子)奨学金を6月ごろの予約で申し込んだ人には、10月~11月に在籍している高校を通じて採用結果が届きます。もし春の採用に申し込んでいなかった場合や不採用だった場合は、第二種にかぎり、10月~11月に秋の募集でも申し込めます。
秋の募集では第一種の申込みはできないので、第一種を使いたい人は、進学先で「在学採用」に申し込んでください。ちなみに在学採用では第一種だけでなく、第二種も受け付けています。予約採用で第一種に落ちてしまった場合でも、再度申し込むことができます。
入学時特別増額奨学金のつなぎ融資にはろうきんが使える!
JASSOの奨学金には、入学時にまとまって必要な費用をカバーするために、入学時特別増額奨学金という制度があります。これは毎月の貸与とは別に、入学後に一時金として一括で貸与される奨学金です。
利用には条件があり、基本的には(保護者が)国の教育ローンを申し込んだけど審査落ちして使えなかった場合に限られます。融資が受けられなかった通知書を提出して申し込めば、10万円~50万円の範囲で10万円単位で利用できます。ただし実際に振り込まれるのは入学後になるため、国の教育ローンで賄おうと思っていた入学前の納付金としては活用できません。
その場合は、ろうきん(労働金庫)のつなぎ融資(入学時必要資金融資)が利用できます。
この融資はろうきんの借り入れではありますが、奨学金と連動している融資なので、奨学生本人の名義で申し込めます。入学前にろうきんから借り入れ、入学後の6月ごろに入学時特別増額奨学金が振り込まれたら、速やかにろうきんに返済します。
大学などが取り扱っている給付型奨学金にも注目!
JASSOの奨学金以外でも、多くの大学などで独自に扱っている給付型奨学金があります。受験前に申し込んで「予約」できる給付型奨学金もたくさんありますので、進学予定の大学や専門学校などで使える奨学金があるかどうか、確認しておきましょう。
私立大学などでは、そろそろ申し込みできるところもあるようですよ!以下はほんの一例です。
▼早稲田大学
▼法政大学
▼東北学院大学
自治体や企業が設置している奨学金にも注目!
各自治体や企業が独自に設置している奨学金も意外と多いです。大学案内などで紹介されている場合もあります。使えそうなものがないか探してみましょう。
▼当ブログで紹介した一例
本人が借りられる公的資金「教育支援費」「就学支度費」とは?
インターネットで「学生本人が借りられるローン」を調べると、本人の申込みで借りられる公的ローンとして「教育支援費」「就学支度費」がピックアップされている場合があります。
公的資金というところに注目してしまいますが、「教育支援費」「就学支度費」は社会福祉協議会が取り扱っている、社会福祉制度の「生活福祉資金貸付制度」のなかで定められている制度です。つまり福祉の視点からの支援制度です。したがって、利用条件はかなり厳しくなっています。
生活福祉資金は低所得者世帯(住民税非課税か、それと同程度)、障害者世帯(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた人がいる世帯)、高齢者世帯(65歳以上で日常生活上療養または介護が必要な高齢者のいる世帯)が対象になっており、いずれの場合も「ほかで融資を受けることができない世帯」が対象になっています。
また生活福祉資金(教育支援費・就学支度費)よりも、日本学生支援機構の奨学金や、日本政策金融公庫の教育一般貸付(国の教育ローン)、母子寡婦福祉資金などほかの融資の利用が優先されます。つまり、先にこれらの奨学金や融資に申込み、融資が受けられる人は教育支援資金・就学支度費は利用できません。
これらの条件を満たす世帯にいる学生は、自分名義で「教育支援費」「就学支度費」を借り入れることができます。取り扱いは居住地域の社会福祉協議会に問い合わせてください。
生活福祉資金一覧(PDFで開きます)
教育ローン、親に借りてもらうしかないけど、でも、どうしても親に迷惑をかけたくない!!という場合は…
奨学金以外で、学生本人が教育ローンを利用するのは、正直なところなかなか厳しいです。しかし、やはり親の借金を増やしたくない、とか、自分の力で進学したい、という気持ちが強い場合は、保護者が契約して借り入れたあと、卒業後に本人(お子さま)が返済を引き取る「親子リレー返済」を取り入れている教育ローンを検討する、という方法もあります。
親子リレー返済とは、文字通り契約~借り入れは保護者名義で行い、初めの返済は保護者が担当しますが、学生本人が卒業した後は、本人が債務を引き継いで自分で返済を行う、というものです。
多くの教育ローンは、在学中は利息の返済だけにできる制度(元金据置制度)もありますので、親の返済期間は元金据置にしておくと、負担を最小限にとどめることができます。このようなシステムもある、ということで保護者の方に検討をお願いしてみるのも一案です。
親子リレー返済を扱っている教育ローンの一例
親子リレー返済制度を取り入れている教育ローンを一部ピックアップします。
●楽天銀行 大学専用教育ローン
提携校向けとそれ以外の一般大学向けがあります。条件はほぼ同じですが、利息が異なります。卒業後に返済口座を本人のものに変更し、支払いを引き継ぎます。
●オリコ 学費サポートプラン
追加融資分も、初めの借り入れとまとめて1本化することができます(追加融資してもローンの本数が増えません)。
●三井住友銀行教育ローン(有担保型)
まとめ
学生本人が教育費を借り入れたい場合、とにもかくにも、まず奨学金です。日本学生支援機構の奨学金だけでなく、進学先の奨学金や地方自治体、企業が運営している奨学金をさがしてみてください。JASSOのホームページでも紹介ページがあります。
▼こちらで検索できます
そのうえで、何らかの事情で学生本人名義で教育ローンを利用する必要があれば、成人後にアルバイトなどで安定収入を確保したうえで、検討するようにしてください。可能であれば保護者が契約して返済を本人が引き継ぐ「親子リレー返済」が使える教育ローンを選択するのが、筆者的には現実的かと思います。
以上「教育ローン、学生本人が申込みできる?契約手続きと返済について解説」という内容でした。
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