日本学生支援機構(JASSO)の奨学金には、無利息の第一種奨学金と、有利息の第二種奨学金があります。また、第一種奨学金を申し込んだ人でも、入学時特別増額貸与奨学金を申し込んだ場合は、増額部分には利息がかかります。
利息がかかる第二種奨学金と増額貸与奨学金を申し込む時には、利率算定方式を選ばなくてはいけません。この記事では利率算定方式について解説します。
- 初めに奨学金の利息の仕組みについて知っておきましょう
- 利息がかかる奨学金は「利率固定方式」と「利率見直し方式」を申し込み時に選択
- 金利の上限は年利3.0%と決められています
- 「利率固定方式」と「利率見直し方式」どちらを選んだらいい?
- 一度決めたら変更できないの?
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初めに奨学金の利息の仕組みについて知っておきましょう
まず利率算定方式を決める前に、奨学金の利息について説明します。ちょっと特殊なので、しっかり理解しておきましょう。
一例として、4年制大学に入学した場合で説明しましょう。奨学金は、大学等の在学中に、毎月口座振り込みで貸与されます。在学中は無利息、つまり、卒業するまで利息はつきません。そして4年生の3月で貸与が終了します。
そして重要なポイントは、奨学金は貸与終了時に利息が決まる、ということ!たとえば平成29年の3月に貸与が終わった人は、機構が発表した平成29年3月の利率が適用されます。
出典:平成19年4月以降に奨学生に採用された方の利率 - JASSO
卒業を待たずに、在学途中で貸与終了となった場合は、終了月の利率が適用されます(ただし返還開始は届け出をすれば在学中は待ってもらえます)。
つまり、奨学金の利率は、貸与開始時にはっきりと知ることができません。金融情勢等で動きますし、2年後とか4年後にどうなっているか、なんて正直なところ、正確には誰にも分かりませんね。
利息がかかる奨学金は「利率固定方式」と「利率見直し方式」を申し込み時に選択
奨学金の利息決定の仕組みについて知ったところで、利率計算方式について見ていきましょう。
無利息で借りられる第一種奨学金以外の、利子がかかる奨学金を利用する場合は、利率算定方式を申し込み時に選択します。
選択肢はふたつ。「利率固定方式」と「利率見直し方式」です。
利率固定方式
いわゆる「固定金利」のことです。貸与終了時に決定した貸与利率が、返還中ずっと変わらずに適用されます。返還中に利率の変化がないので、返還計画が立てやすく安心です。また当然ながら、利率が低い時期に固定金利で確定すれば、その後金融情勢で利率が上がっても、変化しないのでお得になります。
利率見直し方式
こちらは一般的にいう「変動金利」のことです。市場金利の変化に応じて利率が変化する方式で、返還が開始されてから利率が上がる・もしくは下がる可能性があります。
とはいえ、毎月のように利率が変化する、というわけではなく、利率の見直しはだいたい5年に1回です。
つまり、返還開始してから5年間は貸与終了月の利率で変わりません。開始後5年目に見直しが入り、利率が上昇または下降する可能性があります。
奨学金の返還期間は通常では最長20年となっていますが、その場合は返還途中に3回、利率の見直しが入る計算です。
増額貸与分は、固定でも変動でも0.2%上乗せ
入学時特別増額貸与奨学金や、私立大学の医学・歯学・薬学又は獣医学を履修する学生の増額分、法科大学院に在学する学生の増額分の利率は、毎月の貸与額にかかる利率に、0.2%上乗せされた利率が適応されます。
なおJASSOの奨学金制度には、海外留学用の第二種奨学金もありますが、利率算定方式や増額部分への利率上乗せは、一般の第二種奨学金と同じ内容になっています。
金利の上限は年利3.0%と決められています
では、奨学金の利率って、実際にどのくらいかかるのでしょう?
まず初めに知っておいていただきたいのは、奨学金の金利は最大で3%まで、と上限が決められていることです。突然金融情勢が変化し、急激な金利変動があったとしても、奨学金の金利が年利3%を超えることはありません。
そのことを踏まえて、奨学金の利率を見ていきましょう。参考までに、国の教育ローン(日本政策金融公庫 教育一般貸付)では、2024年5月現在、年利2.40%(固定金利)となっています。先に挙げた資料をもう一度引用します。
出典:平成19年4月以降に奨学生に採用された方の利率 - JASSO
平成28年度の貸与利率をみると、いずれも1%をはるかに切る数字が並んでいます。ここ何年かは利率は低めで推移しています。
参考までに、平成23年度の利率一覧も見てみましょう。
現在よりは全体的に少し高めの利率となっています。
ただし、過去のデータを見ると、利率が2%を超えた資料は見られませんでした(最高でも1.5%程度)。したがって、上限が3%となっているものの、実際ははるかに低い利率だと分かります。
ちなみに平成23年度貸与分で、利率見直し方式を選択していた人は、平成29年3月に1回目の利率見直しが入っています。一覧の下側に見直し後の利率が記載されています(これは平成28年3月の利率と同じです)。
利率について詳しく知りたい人は、こちらをご覧ください。
出典:平成19年4月以降に奨学生に採用された方の利率 - JASSO
「利率固定方式」と「利率見直し方式」どちらを選んだらいい?
固定方式と見直し方式(変動)、どちらを選べばよいか悩むところですね。平成28年度の利率をみると、変動金利がかなり低くなっているため、変動利率を選びたくなります。が、固定方式も近年ではかなり低金利のレベルになっているため、上がらないうちに固定しておこう、と考える人もいるでしょう。
一般的には、返還が20年など長期にわたる場合は、固定金利で見通しを立てながら返還を進めていくとよいと思われます。一方、返還期間が15年以下など短い場合は、金利見直しの回数も2回で済むため、低金利で推移してくれればかなりお得になる場合も。
親と協力して繰上返済を考えている場合などは、貸与終了時の変動金利が破格に低ければ、変動金利の間に早めに返済を終えてしまう、というのも一つの手段です。
とはいえ、予約採用で申し込んだ場合、貸与終了まで5年近くあります。そんな先の金融情勢までは、金融のプロでもなかなか読み切れないところでしょう。
一度決めたら変更できないの?
予約採用時に決定しなくてはいけない利率算定方式ですが、実は!後から変更することが可能です。
まず、進学後に提出する「進学届」で、第二種奨学金と入学時特別増額貸与奨学金の利率算定方式を変更できます。入学時特別増額貸与奨学金は、方式を変更する最後のチャンスです(奨学金の初回貸与時に一括で増額貸与され、貸与終了するため→つまり利率決定するため)。金利の動向をみて変更したい場合は、進学届で必ず変更手続きをしてください。
入学時の増額分以外の奨学金は、実は貸与開始後から貸与終了前の決められた期間までは、利率算定方式が変更できます!予約採用時や進学届を出す時期には、なかなか先の金利動向は読めないものですが、貸与終了が近づいてくると、利率の変動をみながら、方式を変えたくなるかもしれませんね。
固定⇔見直しに変更したい場合は?
利率の算定方式を固定⇔見直しと変更したい場合は、まず在籍する学校の奨学金担当窓口に連絡し、変更届をもらってください。必要事項を書き込み、学校に提出します。直接機構に申請しなくても、大学など学校で手続き可能です。
注意していただきたいのは、貸与終了年度の間で、変更の締め切りが各学校ごとに定められている、という点です。おおむね貸与終了月の何ヶ月か前が締切になると考えられますが、一律ではないので、それぞれ在籍校に確認する必要があります。
利率算定方式の変更を考えている奨学生は、夏休み明け~秋頃には、一度奨学金窓口に確認してください。この期限を過ぎると、利率算定方式は変更できません。もちろん貸与終了後も返還開始後も変更不可です。ご注意ください。
筆者宅では利率見直し方式を選択
奨学金を利用していた筆者の上の子は、2019年3月で貸与終了となりましたが、利率見直し方式を選択しました。ちなみに2019年3月の貸与利率は
利率固定方式:0.14%
利率見直し方式:0.01%
このようになっていました。
なお、2022年(令和3年度)3月の貸与利率は、
利率固定方式:0.369%
利率見直し方式:0.040%
となっており、微増しているのが分かります。
2022年は国の教育ローンも金利アップしており、社会情勢を見ると金利上昇の可能性もあるかもしれません。
利率見直し方式では5年ごとに利率の変動の可能性があるので、返済中の方も金利動向にはご注意ください。
以上「奨学金の利率の算定方式は「利率固定方式」と「利率見直し方式」どちらを選ぶべき?あとから変更はできる?」という内容でした。
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参考リンク:
予約採用を申し込むときのスケジュールについて解説しています。